世界的に環境破壊、自然破壊が進むなか、個人生活、企業活動の如何をとわず、自然保護、環境整備が大きく
取り上げられ、この観点なしでは、全ての活動を停止せざるを得ないような状況にまでなってきていると言っ
ても言い過ぎではないかと思います。 日本に於いては戦後の高度成長期を通じて、長年培われてきた生活様式
を捨て,重厚長大、使い捨て、が良いことだとしてそういう物の造り方をしてきました。
住宅の造り方も同様で、本来使用すべきでないような材料を使って(それが劣悪であると分かっている為防腐剤
に漬け込んで使用)精々20〜30年しかもたいような家造りをしてきた訳で、使い捨ての最たるものが住宅で
有ると思っています。資源は無尽蔵で有り、地球の浄化作用は万全で有ると言う思い込みがありました。
これは日本だけの事ではなく世界的にそうでした。その結果として様々な問題が引き起こされて来た訳で有ります。
特に最近では地球温暖化、二酸化炭素(CO2)濃度の問題が大きく取り上げられています。この原因としては様々
な事が考えられていますが、我々が直接関係している住宅関連として、森林の乱開発の問題が取り上げられています。
周知の様に樹木(植物)は光合成に拠って大気中の二酸化炭素(CO2)と地中から吸い上げられる水を利用して、
二酸化炭素(CO2)を炭素(C)として固定化し、酸素(O2)を大気中に還元しています。(一般的には酸素を
増やしつづけるものだと考えられているようなところが有りますが、これはちがいます。)
植物は一年生のものから数十年、長いもので数千年の寿命を持った物まで様々な種類のものが有りますが、
その成長過程に於いて、呼吸する事によって消費する酸素(O2)よりも光合成によって生産する酸素(O2)
の方が多く、確実に大気中の二酸化炭素(CO2)濃度を減少させます。
この意味に於いては確かに森林等はむやみに伐採すべきではないと言えます。しかし数千年の命を持つ樹木で
あろうとやがて生長は止まります。この時期(成長が止まる時期)になりますと呼吸による酸素(O2)消費と
光合成による酸素(O2)の生産がバランスされるようになりますので、差し引きはゼロとなる状態となります。
更にこの樹木が枯れますと、やがて倒れて腐り分解されるようになります。一生かかかって固定化した炭素(C)
が腐る、即ち酸化されて二酸化炭素(CO2)に分解されていきます。従ってその木が一生かかって生産された酸素(
O2)と消費された二酸化炭素(CO2)は(+)でもなければ(−)でもない差し引きはゼロとなります。
従って、人手の入らない森林(極相林)に於いては、生産もされなければ消費もされない訳でして、唯循環している
だけであると言えます。それならば切り倒して開発してしまっても良いではないかと、考えることも出来ますし、
そういう風に考えた人もいましたが、これは全くの間違いであります。森林には様々な生物が生息していますし、
森林の役割はその様な単純なものでは有りませんし、近年、その重要性がかなり理解されるようになってくると共に、
逆に今度は、森林保護、地球温暖化防止等、を叫ぶあまり、木は一切切ってはいけない、21世紀にかけて木を利用
した家に住むと言うようなことは、してはならない事であると言うような人まででてきています。
ここですこし木について考えてみたいと思います。
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