木と言う文字は、言うまでもなく象形文字です。呉音で(モク)漢音で(ボク)と読みますが、
これは上から覆い被さると言う意味です。
例えば、頭から水をかぶる事を沐浴(もくよく)と、言いますし、
入道雲を表現するのに、もくもくたる入道雲と言った表現をすることから想像してみますと良く分かると思います。
余談ですが「目」も、瞼が上から覆い被さりますから"もく"と読むそうです。
木と良く似たものに草が有りますが、一般的にその植物の最悪期(冬=温度不足、乾期=水分不足)に於いて、
地上に次の芽を持って過ごすものを木と呼び、草と区別しているようです。
温度と水分の過多に依って木には、広葉樹、針葉樹と、夫々常緑樹、落葉樹が有り、4つの型をもっています。
又これらの変化(温度と水分)が一年を通じて少ない地方のものが常緑樹となります。
更に陰樹と陽樹が有り、夫々高木と低木が有ります。
日本の諺に"あとは野となれ、山となれ"と言うのが有りますが、日本に於いてはそのとうりで有りまして、開発してしまった跡地や、構築物を取り払った跡地を放置しておきますと直ぐに草が生え、やがて木まで生えてきます。先ず最初に草が生えてきますので、草と言う字は、くさ冠に早と書きます。次に生えて来るのは、くさ冠に次、即ち茨であり蔓性のものです。漢字と言うものは面白いものだと思いますし、先人達の観察眼にも驚かされます。この様に植物が順次生え変わっていく事を遷移と言いますが、日本では次の様に遷移します。草―茨―陽低木―陽高木(桧、松等)―陰低木―陰高木(ケヤキ,ヒバ等)と遷移しまして、最終型を極相林と言います。(日本では南の地方では照葉樹林帯、北の地方ではブナ林帯が極相林となります)。
ところで、先に日本に於いてはと書きましたが、世界中どこでもこの様に成るかと言うとそうではないのです。土、水、温度、日照等の条件に依っては、一度伐採してしまうと再生がきかず、不毛の土地になってしまう所がたくさん有り、すでにそうなってしまった所も至る所に見受けられます。最近特に問題になっている熱帯ジャングルは再生が非常に難しいようです。其の点日本は非常に恵まれていると言えます。しかし、日本に於いても過去の乱伐(古くは寺社等の造営、最近では戦争中の乱伐)の為に荒廃してしまった山がたくさん有ります。又人工林に於いても度重なる伐採に依って地力が衰え、生産力が低下していることが認められているようです。
木、森林について日本の現状を考えてみます。
木,森林の日本の状況1
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