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木,森林の日本の現状

 

日本列島は、北緯24〜45.5度に渡る南北3000km、37.7万kuの国土を持ち、亜寒帯から亜熱帯に属し、その約67%が森林に覆われた緑豊かな国で有ります。北緯36度線を境にして、以南を照葉樹林帯、以北をブナ林帯に覆われています。 森林の構成としては、自然林(原生林、人手の入っていない森林)27%、二次林(一度伐採された後再生された森林)36%、人工林(人間が植林した森林)37%、となり、人手の入った森林が全体の73%を占めています。其の中に約16億立方メートルの材積量を持ち、年間、約2700万立方メートルを国産材として利用し、その他は輸入に頼っています。木材、合板、紙、パルプを含み、年間使用量約1.1億立方メートル、日本人一人当たり約1立方メートルを消費している事なります。不足分は輸入に頼っているのですがこの輸入量が熱帯雨林等の乱伐を招いているとの非難を受ける一方で、国内林業の低迷に繋がっています。こういった事から先ほど述べたように、木で家を建てるなどと言う事はとんでもないと言うような意見が出てきているような気がします。


しかし、それでは何を利用して建てれば良いのでしょうか。スチール、コンクリート、アルミ等が有ります。確かに一見非常に良さそうに見えますが、鉄はその昔生産の為の燃料として木を利用した為、豊かな森林が不毛の土地になってしまった所が世界中至る所に有る如く、非常なエネルギーを必要とします。コークスが発明されていなければ、恐らくもっとひどい事になっていたでしょう。


これら全てに共通していることは、優れた材料では有るが、その生産過程に於いて物凄い二酸化炭素(CO2)を発生させることです。(林野庁では、原材料1立方メートルの製造に必要なエネルギー消費量として、鉄は木材の191倍、アルミニウムでは791倍、又同一面積の住宅では鉄骨造では2.9倍、RC造では4.2倍のエネルギーが消費される。と言う報告書をだしています)。


更にこれらの資源は決して無限ではありません。唯一木材だけが其の製造(植林に依る成長)過程に於いて二酸化炭素(CO2)の発生がゼロで有り、植林さえすれば資源としてもそれこそ無限です。こう考えてきますと、木を利用しながら家を建てる事は全く問題がない事で有るばかりではなく、最良の方法で有るとさえ言えると思います。地球上のものは全て循環する事に依ってうまく行くように成っているようです。この循環の輪の中に入る事、其の中で様々なものを利用しながら生活していく事が大切であると思います。


従って木を利用すると言う事は、森を大切に育てていくと言う事と同じことでなければならない訳です。そうする事に依ってのみ、問題の発生を抑える事が可能となります。残念ながら日本の現状ではここが巧く行っていないようです。経済的要因、貿易摩擦の問題、林業家の問題、消費者側の態度等、様々な問題が有るのでしょうが、それでも尚この問題をクリアーして、循環の中で生活していかねばならないと言えます。


ところで、木には色々な種類のものが有りますから一概には言えませんが、日本の代表的な木で杉の木は100年で約1立方メートルの大きさに成ると言われています。我々の一生80年として、年間1立方メートル、生涯80立方メートル(紙、パルプ等を含む)の木を利用する訳ですから、単純に考えますと、一人がその一生のうちに、約100本の木を植えれば循環させられることになります。


その上造り方さえきっちりとしていれば、木の家は100年ぐらいは簡単に持ちます。(私は江戸末期に建てられた、それも特別な建物ではなく、其の当時の長屋建ての様な解体現場に立ち会う事がよくあるのですが、補修工事を施せば更に使用に耐えうる建物によくであいますし、増改築工事をして、今もりっぱに使用して頂いている家もあります。)その間木は生きている訳ですから、二酸化炭素(CO2)を固定したままです。更に住宅としての役割を終えた木は様々なものに再利用する事が出来ます。正に我々が現在直面している問題にとって最適の材料と言えるのではないでしょうか。要は我々の使い方、利用の仕方如何に係っているだけです。そして其の木が役割を終えるころ、次の木が立派に育っているはずです。


木,森林の日本の状況2
 
 

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